配偶者に不倫されると、くやしい思いから報復したくなるのも無理はありません。
慰謝料請求しても不倫相手が開き直ったり「慰謝料を払わない」と拒絶したりするので、どうにかして払わせようと躍起になってしまうケースもあるでしょう。
しかし不倫されたからといって、違法行為をしてはいけません。
今回は不倫相手(浮気相手)にしてはならないことについて、名古屋の弁護士が解説します。
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1.相手に暴行を振るう
不倫されて腹が立ったからといって相手を殴ったり蹴ったり怒鳴り付けたりする暴行を振るってはなりません。「暴行罪」が成立する可能性がありますし、相手がけがをしたら「傷害罪」も成立します。
民事的にも相手に対する慰謝料はもちろんのこと、治療費や休業損害などのお金も払わなければならないリスクが発生します。不倫の慰謝料請求をする際にも不利になってしまうでしょう。
2.相手を脅迫、恐喝する
不倫されたら感情的になり、不倫相手を脅迫してしまう方がいます。たとえば「不倫のことを職場に知らせるぞ」などと言うのも脅迫です。
電話をかけたりメールを送信したり職場や家に押し掛けたりして脅迫すると「脅迫罪」が成立します。また「土下座しないと〇〇するぞ」などと言って相手を脅して義務のない行為を強要すると「強要罪」という犯罪が成立します。
さらに「慰謝料を払わないと殴るぞ、職場に言うぞ」などと言って無理矢理慰謝料を払わせようとすると恐喝罪(恐喝未遂罪)が成立する可能性もあります。
このような違法行為も決して行うべきではありません。相手が慰謝料を払わないときには無理矢理支払わせるのではなく法的な手段で対応しましょう。
3.相手を監禁する、住居侵入、相手が求めても退去しない
不倫相手を許せない、慰謝料を払おうとしないなどの理由で腹を立て、相手を監禁する人がいます。しかし人を不当に監禁すると「監禁罪」という犯罪が成立します。
また証拠集めや状況確認などのために不倫相手の家に行く人がいますが、相手が許可していないのに勝手に家の敷地内に入ったら「住居侵入罪」となります。相手の家に押し掛けて「帰って下さい」と言われても帰らずに居座ると「不退去罪」という犯罪が成立する可能性があります。
犯罪行為をすると不倫の慰謝料請求もしにくくなってしまうので、控えましょう。
4.相手の職場に押し掛ける
不倫が発覚したとき、「相手の仕事を奪ってやりたい」などと思って職場に押し掛けて騒ぎを起こしてしまう方がおられます。
しかし不倫相手の職場で不倫の事実を言いふらすと「名誉毀損」になります。また職場で不倫相手を殴ったりした場合には「暴行罪」が成立します。
そもそも従業員が不倫したからといって会社が解雇する理由にはなりません。
騒ぎを起こすと、請求者側が不利になってしまうだけなので、控えましょう。
5.相手の親に請求する
不倫相手が慰謝料を払おうとしないとき、相手の親に請求しようとする方がおられます。請求とまではいかなくても「あなたの娘さんがうちの夫と不倫して困っているので、慰謝料を代わりに払ってもらえませんか?」などと書状を送ったり訪ねて行ったりする人もいます。
しかし相手の親には法律上、慰謝料の支払い義務はありません。法律上の義務のないことを強要すると「強要罪」になります。
お願いするだけなら犯罪にはなりませんが、無関係な親に不倫の事実を知らせたことが「プライバシー権侵害」と主張される可能性もあります。
親に請求しても慰謝料トラブルを解決できる可能性はほとんどないので、余計なことはしないのが得策です。
6.無言電話などの嫌がらせをする
不倫相手が憎い、あるいは慰謝料を払わないことに腹を立てて、無言電話などの嫌がらせ行為をしてしまう方もおられます。
しかし嫌がらせをすると相手から「不法行為」と主張されて慰謝料請求される可能性もあります。実際、嫌がらせをしたからといって慰謝料が支払われるわけでもなく、何の解決にもなりません。
相手が気味悪がって警察に通報したりして、無用なトラブルになるリスクもあるので、やめておきましょう。
7.ネットに悪口を書く
配偶者に不倫されると、そのことをネットに書き連ねてしまう方がいます。
自分のブログに配偶者と不倫相手の不倫内容を書いたりネット掲示板に不倫相手の個人情報を貼ったりするケースなどです。
しかしネット上への投稿は「名誉毀損」「プライバシー権侵害」などの不法行為になります。不倫相手から損害賠償請求を求められれば応じざるを得ませんし、慰謝料請求の交渉でも不利になるので控えましょう。
8.不倫されたときに本当に大切なこと
浮気相手に誠意がないと、くやしい、反省させたい、きちんと慰謝料を支払ってほしいなどのいろいろな思いから極端な行動に出てしまうケースがあります。
しかし違法行為をしても不倫トラブルは解決できません。かえってこちらの立場を悪くしてしまいます。
不倫トラブルを解決し、相手に本当の意味で「ペナルティ」を与えたければ法的に正当な方法で慰謝料請求を進めて、できるだけ高額な慰謝料を支払わせることが重要です。
お一人で悩んでしまうと精神的にも追い詰められて、ついつい普段しないことをしてしまいがちです。不倫トラブルでどう対応して良いかわからない方やどうしても相手に報復をしたい方は、1度弁護士までご相談下さい。