配偶者のある人と不倫をしていると、ある日突然、相手の配偶者から「慰謝料」を請求されるケースが少なくありません。
不倫の慰謝料を請求されたときには、「本当に支払うべき法的義務があるのか」「請求額通りに払わねばならないのか」など検討すべきポイントがいくつかあります。
以下では不倫・不貞の慰謝料請求をされたときの対処方法について、離婚・男女問題に力を入れて取り組んでいる名古屋の弁護士が解説します。
このページの目次
1.不倫と不貞の違い
配偶者のある人と不倫していると、慰謝料請求される可能性があります。不倫は相手に大きな精神的苦痛を与える不法行為だからです。
ただ、慰謝料が高額になる「不貞」と一般用語の「不倫」には少しニュアンスの違いがあるので、まずは言葉の正確な意味を確認しましょう。
1-1.法律上の「不貞」とは
法律上、高い違法性が認められて高額な慰謝料が発生する行為は「不貞」です。不貞とは、配偶者のある人と「肉体関係」を持つことです。たとえ配偶者のある人と「男女交際」をしていても、肉体関係がなかったら「不貞」ではありません。
また当事者が結婚していない場合にも「不貞」になりません。たとえば交際していても、まだ婚約も結婚もしていない場合には、肉体関係を持っても「不貞」になりません。
以上のような理由から、一般的に「浮気」「不倫」と言われる場合でも「不貞」に該当しないケースがあります。
1-2.「浮気」や「不倫」と言われても「不貞」にならないケース
- 相手と肉体関係を持っていない
- 相手が結婚していない(単なる恋愛関係)
1-3.慰謝料を請求されても払わなくて良い5つのケース
慰謝料請求をされても、以下のような場合には支払いの必要がありません。
①肉体関係がない
相手の配偶者と親しくしていても、肉体関係を持っていないなら基本的に慰謝料を支払う必要はありません。ただし一般的な常識の範囲を超えて男女として親しく交際していた場合、少額の慰謝料が発生する可能性はあります。
②不貞の慰謝料が時効にかかっている
不貞の慰謝料には「消滅時効」が適用されます。その期間は「不貞の当事者と不貞関係を知ってから3年間」です。そこで、3年以上前の不倫関係にもとづいて慰謝料請求された場合、時効消滅を主張して支払いを免れることができる可能性があります。
ただし時効が成立していても、「援用」しないとその硬貨を主張できませんし、いったん「支払う」と言ってしまったら支払いに応じざるを得ません。時効が成立している可能性があるなら、自己判断で相手と話しをする前に弁護士に相談するのが得策です。
③相手の婚姻関係が破綻した後の交際である
たとえ配偶者のある人と肉体関係を持ったとしても、相手夫婦の婚姻関係が破綻した後の交際であれば不法行為になりません。たとえば相手の夫婦仲が悪化して別居後に交際を始めた場合、慰謝料を支払う必要はありません。
④肉体関係を強要された
配偶者のある人と肉体関係をもっても、強要されたのであれば慰謝料を支払う必要はありません。肉体関係の強要はそれ自体が「強制性交」という強度な違法行為であり、犯罪です。自らの故意や過失によって肉体関係を持ったわけではないので、不法行為は成立せず慰謝料支払い義務も発生しません。
⑤相手が「独身」と偽っていた、騙された
交際相手から「独身」と嘘をつかれ、過失なく信じていたケースでも慰謝料を支払わなくて良い可能性があります。
一般に不貞によって慰謝料が発生するのは、本人に故意や過失にもとづく違法行為があるからです。相手から騙されており、それについて過失がないのであれば、不法行為にならないので慰謝料は発生しません。ただ、「独身」と言われて単純にその言葉を信じ込んでいただけの場合「気づくべきであった」「過失がある」と認定される可能性もあります。その場合、多少は減額されても慰謝料を払わねばなりません。
2.不倫・不貞で慰謝料請求されたとき、弁護士に相談すべき理由
不倫・不貞トラブルで慰謝料請求されたら、すぐに弁護士までご相談下さい。以下のようなメリットがあります。
2-1.支払い義務があるかどうかを適切に判断
不貞慰謝料を請求されたとき、まずは本当に支払い義務があるかどうかを見極める必要があります。素人の方では適切な判断は困難でしょう。
弁護士であれば、法的な観点から支払い義務があるかどうかを的確に判断可能です。このことにより、本来不要な支払いをしてしまうリスクを避けられます。
2-2.相手との交渉を任せられる
不倫問題で慰謝料を請求されたら、相手との交渉が必要です。相手の請求金額が高額すぎる場合には、減額に応じさせなければなりません。一括払いが困難であれば分割払いを提案して交渉を進めるべきです。
不倫した本人が相手方と交渉をすると、どうしても相手が感情的になって話がまとまりにくくなります。弁護士を代理に立てることによって解決しやすくなりますし、相手から責め立てられるストレスからも解放されます。
3.当事務所における不倫の慰謝料トラブルへの取り組み
不貞(不倫)慰謝料のトラブルは、誰にでも相談できるものではないので抱え込んでしまう方も多数おられます。妻子ある男性と不倫していたところ、妻に気づかれて慰謝料を請求されたとたんに、相手の男性と音信不通になってしまうケースなどもみられます。
当事務所では、不倫トラブルに巻き込まれて経済的、精神的に追い詰められている方々を、できるだけたくさんお助けしたいと考えております。不倫トラブルで相手の配偶者から慰謝料請求をされてお困りの場合、お気軽に弁護士までご相談下さい。