弁護士と結婚しても、さまざまな事情によって離婚するケースがあるものです。相手が弁護士の場合、「離婚のプロ」ですから「不利になってしまうのではないか?」と心配になるのも当然です。
ただ、弁護士であるからといって離婚の際に特別な扱いをされるわけではないので、基本的には法律に従って淡々と進めていけば問題ありません。
今回は、弁護士と離婚する際に押さえておきたい知識やよくあるご相談内容を、名古屋で離婚問題に積極的に取り組んでいる弁護士がご紹介します。
このページの目次
1.弁護士だからといって特別扱いはされない
離婚の際、相手が弁護士であればどうしても自分が極端に不利になってしまうのではないかと不安になるものです。
しかし法律では、弁護士だからといって優遇されることはありません。
親権者、養育費、慰謝料や財産分与、面会交流や年金分割などさまざまな決めごとがありますが、相手が弁護士でも通常通りに取り決めて合意すれば不利になることはありません。
ただし相手は法律についての詳しい知識を持っているので、こちらも十分な知識をもって離婚交渉に臨む必要があるといえるでしょう。
2.弁護士に依頼する必要がある?
相手が弁護士の場合、「こちらも弁護士に相談や依頼をすべきでしょうか?」というお悩みもよくお伺いします。
結論から言うと、弁護士に相談される方が良いです。相手は離婚や法律に関する詳しい知識を持っているので、こちらが素人対応だと大きく不利になってしまう可能性があります。
たとえば財産分与について争いが発生したとき、相手は「どういった主張をすればなるべく財産分与を減らすことができるか」を知っています。それに対する対抗方法を知らなければ,合法的な範囲で財産分与を最小限にされてしまうでしょう。
弁護士相手に離婚を有利に進めるには、あなたの方も弁護士を立てて交渉していくのがベストといえます。
身内に離婚トラブルを知られるのが嫌な弁護士も多いので、こちらが弁護士に相談する態度を見せると意外とすんなり折れてくる可能性もあります。
3.どのような弁護士を選ぶべきか
弁護士相手に離婚の話を進めるとき、どういった弁護士を選ぶべきかが問題です。
同じ地域の弁護士はどうしても顔見知りなどであり、対応しにくいケースなどもあります。
地方で弁護士が少ない場所などでは、近くの弁護士に相談しても受けてくれない可能性があり、そういったケースでは県外の弁護士などに相談をされた方が良いでしょう。
4.弁護士と離婚する場合に問題になりやすい財産分与
弁護士と離婚する際に問題になりやすいのが「財産分与」です。
4-1.財産分与が問題になりやすい理由
財産分与は、夫婦が婚姻中に形成した財産を離婚時に清算する手続きです。
弁護士は、一般の会社員や自営業者より平均年収が高いので、財産分与が高額になりやすい職種です。ただ財産分与があまり高額になると、相手としては「分与したくない」と考えますし、請求者としては「多く分与してほしい」と希望するので、対立関係が生まれやすくなります。
また弁護士には不動産や株式投資を行っている方も多数おられますし、ゴルフを趣味としている方も多いので、ゴルフ会員権を持っているケースもあります。将来のためにさまざまな保険に入っている方もいるでしょう。多種多様な財産があることにより、財産分与の評価や計算が複雑化しやすい問題もあります。損をしないためには、不動産や株式、ゴルフ会員権や保険などの財産について、漏れの無いように指摘した上で適正に評価を行う必要があります。
4-2.財産分与の割合
弁護士と財産分与の話をするときには「財産分与割合」にも注意が必要です。
一般的な離婚のケースでは、財産分与の割合は夫婦が2分の1ずつであり、妻が専業主婦でも減らされることはありません。
しかし夫婦の一方の特殊な技能や資格などによって高収入を得ている場合には、財産分与割合が修正されるケースがあります。弁護士を相手に離婚話をすると、相手がこの理屈を持ち出して妻への分与額を減らそうとしてくる可能性が高いといえます。
本当に財産分与を減額すべきなのか、どのくらい減額すべきかはケースバイケースで判断されます。相手の言い分が正しいかわからない場合には、あなたの味方になってくれる弁護士に相談してみることをお勧めします。
5.年金や退職金について
弁護士の場合、年金分割の対象となる厚生年金や退職金がある場合とない場合があります。
一般の個人弁護士事務所で勤務している場合や個人自営業で事務所を開いている方の場合には、厚生年金や退職金がないケースが多数です。年金分割の対象となるのは厚生年金や共済年金なので、国民年金に加入している弁護士に年金分割の請求はできません。
ただし弁護士法人に勤務している弁護士の場合、厚生年金や退職金制度があるケースがあります。その場合には年金分割や退職金についての財産分与を求められる可能性があります。また経営者弁護士の場合でも、生命保険によって退職金を準備している場合や、法人化して厚生年金に加入している場合には退職金の財産分与や年金分割を求めることが可能です。
6.夫の弁護士事務所で勤務している場合
弁護士と結婚されている方は、夫の事務所で事務員として働いているケースもよくあります。
「離婚したら解雇されるのでは?」と心配になりませんか?
離婚は法律上の解雇原因にならないので、離婚を理由に解雇されることはありません。ただし相手はさまざまな理屈や主張をもって退職を迫ってくるでしょう。実際、離婚後も元夫の事務所の事務員として働き続けるのはストレスになりますから、解決金や十分な退職金を払ってもらって自主的に退職する方が得策です。そのためには、あなたの味方となってくれる弁護士に交渉を依頼すべきです。
弁護士との離婚を考えていて一人で悩んでいるなら、当事務所の弁護士がお力になります。名古屋近辺はもちろん、他地域の方からのご相談も受け付けていますので、お気軽にご相談下さい。