離婚の際には夫や妻との同居継続が難しくなって、いったん別居する例が多数です。
「別居はしてみたものの、今後どうやって離婚を進めていけば良いのだろう?」という方もおられるでしょう。
まだ同居を継続しているけれども早めに別居したい方からのご相談も多数お受けします。
今回は別居して離婚を進める方法について、名古屋の弁護士が解説します。
このページの目次
1.離婚の際、別居するメリット
離婚の際、別居すると以下のようなメリットがあります。
1-1.冷静に話し合いができる
離婚を控えた夫婦が同居していると、どうしてもお互いに感情的になりやすいものです。
顔を合わせるたびに口論となったり、お互いに不快な思いをしたりしてとても離婚協議どころではなくなるケースもあります。
別居すればふだん相手と顔を合わせずに済むので、比較的冷静に対応できます。相手と会ったり話したりして腹を立てても家に帰れば一人で冷静に検討できるので、しっかり用意をしながら離婚協議を進めていくことが可能です。
1-2.相手が離婚を真剣に考えるようになる
配偶者に「離婚したい」と告げても、相手が離婚を受け入れないケースがあるものです。
そういった場合、同居を続けていては相手も「やはり離婚する必要はないのだ」「ほとぼりがさめたら離婚などと言わなくなるだろう」と軽く考えてしまいがちです。
しかし別居するとそうはいきません。あなたの離婚への真剣さが伝わるので、相手も真剣に離婚を考えるようになります。
相手が離婚に応じない場合、いったん別居するのは大変有効な手段となります。
1-3.精神的に安定する
離婚を控えた相手と同居を続けるのは大変なストレスです。毎日顔を合わせるのも不快でしょうし、相手の空気感を感じるだけでも苦痛を感じるケースもあります。
別居してしまったら相手との関わりが小さくなるのでストレスを大きく軽減できます。
1-4.DVなどの危険がなくなる
DVやモラハラ被害を受けている場合には、一刻も早く別居するようお勧めします。
同居している限り離婚の話を進められない可能性が高いからです。DVのケースで同居中に相手に離婚話を持ちかけると、相手が興奮して暴れ出して大けがをしてしまうおそれもあります。早めに別居して離婚調停と婚姻費用分担調停を申し立てましょう。
お一人で不安な場合には弁護士がサポートしますので、ご相談下さい。
1-5.婚姻関係の破綻が認められやすくなる
訴訟で離婚するには「婚姻関係の破綻」が認定される必要があります。
たとえば相手が不倫していたりDV被害を受けていたりしたら比較的婚姻関係の破綻を立証しやすいのですが、そうでない場合には「同居」か「別居」かで評価が異なります。
相手が離婚を拒絶していても、長期間別居状態が続いていれば婚姻関係の破綻が認められて離婚できる可能性が高くなります。
相手が離婚に応じてくれない場合、早めに別居して婚姻関係破綻の事実を形成していくのが良いでしょう。
2.別居のデメリット
2-1.不倫の証拠などを集めにくくなる
相手が不倫していているので慰謝料請求をしたいなら不倫の証拠が必要です。しかし別居してしまうと相手の生活状況がわからないので証拠を集めにくくなってしまいます。
また財産分与の基礎となる預貯金通帳や保険証書、車検証や不動産の全部事項証明書などの資料も入手しにくくなるでしょう。
別居を考えているなら、同居中に集められるだけの証拠や資料を集めておく必要があります。
2-2.婚姻費用が発生する
別居すると、夫婦の家計が分かれます。お互いに収入があれば良いのですが、どちらかが主婦(主夫)の場合などには収入格差が生まれるでしょう。その場合、収入の多い方は少ない方へと「婚姻費用(生活費)」を払わねばなりません。
婚姻費用の金額はかなり高額になるケースがありますし、別居解消または離婚時まで払い続ける必要があります。婚姻費用の支払い義務者にとって、別居はデメリットを伴います。
また婚姻費用の支払いを受ける側にとっても別居すると生活不安が発生します。
3.別居して離婚を進める方法
別居して離婚をしたい場合、以下のように進めましょう。
3-1.資料を集めてお金を貯める
まずは同居中に集められるだけの資料や証拠を収集しましょう。また別居にはお金がかかるので、手元にお金がない場合には資金を貯める必要があります。賃貸住宅を借りる費用や当面の生活資金などで100万円くらいあると安心です。
3-2.別居する
準備が整ったら別居します。子どもの親権者になりたい場合には、必ず子どもを連れて別居しましょう。子どもを置いて出ると相手に親権が認められる可能性が高くなります。
3-3.離婚協議を持ちかける
別居したら、相手に離婚協議を持ちかけます。電話やメールで連絡してもかまいませんし、相手にプレッシャーを与えたいなら手紙を使っても良いでしょう。
DV事案や相手が強硬に離婚を拒絶している場合などには弁護士に依頼して内容証明郵便で離婚通知書を送るのも有効です。状況に応じて適した方法があるので、よかったら弁護士までご相談下さい。
合意ができたら協議離婚合意書を作成し、離婚届を提出すれば離婚できます。
3-4.離婚と婚姻費用分担調停を申し立てる
話し合っても合意できないなら、家庭裁判所で離婚調停を申し立てます。あなたが専業主婦などで生活費が必要な場合には同時に婚姻費用分担調停も申し立てましょう。
婚姻費用が決まったら、生活費をもらいながら離婚の話し合いを継続できます。
3-5.離婚訴訟を提起する
調停でも離婚について合意できない場合には、離婚訴訟で裁判所に離婚を認めてもらう必要があります。
裁判では婚姻関係が破綻していないと離婚を認めてもらえないので、離婚したい側が婚姻関係の破綻原因を立証します。
また親権や財産分与などの条件についても有利になるように法的な主張と立証を進めねばなりません。お一人で対応するのは困難なので、弁護士に依頼するようお勧めします。
別居しての最適な離婚の進め方はケースによっても異なります。迷われているなら一度、離婚問題に力を入れている名古屋ヒラソル法律事務所の弁護士までご相談下さい。