不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされたとき、相手が感情的になりすぎて話ができないケースが多々あります。
また「要求通りに慰謝料を払わないと会社に不倫の事実を広めてやる」「実家の親に言うぞ」「念書にサインしない限り家に帰さない」などと脅迫されるケースも少なくありません。
もしも慰謝料請求してきた相手から脅迫されたら、どのように対処すれば良いのでしょうか?
今回は、慰謝料請求を受けたとき、相手から脅迫された場合の対処方法を弁護士がご説明します。
このページの目次
1.不倫の慰謝料請求で、相手から脅迫されるパターン
不倫や浮気で慰謝料請求を受けて相手から脅迫される場合、以下のようなパターンがあります。
1-1. 感情的に怒鳴られて話になら
慰謝料について話し合おうとしても、相手が感情を抑えられずに不倫相手を怒鳴ったりなじったりするので、話し合いを進められなくなるケースが多々あります。
1-2.「慰謝料を払わないと周囲に広める」と脅迫される
慰謝料請求をされたとき、「高額過ぎるから払えない」などと返答すると「この金額を一括で払わないと会社や親に不倫のことを知らせてやる」などと脅迫されるケースがあります。
1-3.「念書にサインするまで帰さない」と言われる、監禁される
話し合いのために呼び出されたから相手の指定した場所に行くと、「慰謝料を払います、という念書にサインしないと帰さない」などと言われて監禁まがいの行為をされるケースもあります。
1-4.相手や相手の親戚などに取り囲まれて脅される
呼び出されて話し合いに出かけたら、待ち構えていた相手や相手の親戚などに取り囲まれ、「そっちが悪いのだから慰謝料を全額支払え」「浮気の自認書を書け」などと脅されたり「土下座して謝れ」などと言われたりするケースがあります。
確かに不倫は間違ったことではありますが、上記のような脅迫行為は違法です。配偶者に不倫されたからといって何をしても良いというわけではありません。脅迫被害に遭ったら、すぐに警察や弁護士に相談しましょう。
2.脅迫は犯罪になる可能性がある
上記のような脅迫行為をすると、以下のとおり、犯罪が成立する可能性があります。
2-1.暴行罪
感情的になって不倫相手を大声で怒鳴り付けたり暴力を振るったりすると、暴行罪が成立する可能性があります。
2-2.脅迫罪
「五体満足で帰れると思うなよ」「お前の家を燃やすぞ」「不倫を周囲に広めるぞ」などと脅したら脅迫罪になります。
2-3.強要罪
「この場で土下座しないと五体満足では帰さないぞ」「この場で不倫の自認書や念書を書け」など、脅して義務のないことを強要したら、「強要罪」が成立する可能性があります。
2-4.恐喝罪
殴られたり「〇〇円払わないとお前のペットを殺すぞ」などと言われたりして、暴行や脅迫の手段によって慰謝料を無理矢理払わせる場合、「恐喝罪」が成立します。
3.慰謝料請求の相手から脅迫された場合の対処方法
慰謝料請求の相手から脅迫されたら、以下のように対応しましょう。
3-1.感情的に怒鳴られる場合
相手が感情的に怒鳴って話ができない場合、間に人を入れて話を進めましょう。
たとえば裁判所で「調停」を申し立てて、調停委員に間に入ってもらう方法が考えられます。ただし、調停を申し立てる手間がかかりますし、調停には毎回出廷しなければならないので時間もとられます。
よりスムーズに解決できる方法として、弁護士を代理人に立てる方法が有効です。弁護士が代理人になれば、当事者同士が直接話す必要がなくなります。相手も感情を抑えて話すことができますし、弁護士が相場の慰謝料の金額を伝えるので、法的に相当な範囲内で慰謝料支払いの取り決めをすることも可能です。
相手が法外に高額な慰謝料を請求してくる場合にも有効な対処方法です。
3-2.脅迫される場合
「殺すぞ」などと脅迫されて困っている場合、本当に生命や身体に気顔を加えられそうな状況なら、警察に相談すべきです。
ただ、そこまでの危険が発生していない場合、警察に相談してもすぐには動いてくれないでしょう。そんなときには、弁護士までご相談下さい。弁護士が相手に警告を発することにより、脅迫をやめさせることが可能です。また、引き続いて弁護士が慰謝料についての話し合いを進めてトラブルを解決できます。
3-3.義務のないことを強要される場合
「土下座しろ」、「自分の罪(不倫したこと)をネットで公表して謝れ」「浮気を認める自認書を書け」など義務のないことを強要される場合にも、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
このような要求に中途半端に応えていると、どんどん要求が大きくなって被害が拡大する可能性があるからです。また法的に義務のない要求に応じる必要はありません。
弁護士が間に入り、相手に対して毅然とした態度で「そういった要求には応じられない」と伝えれば、相手も諦めざるを得なくなります。
3-4.慰謝料支払いを迫られる場合
相手から脅迫的に慰謝料の支払を迫られている場合にも、お早めに弁護士までご相談下さい。いったん支払いをしてしまったら、法外で高額な金額でも取り戻しは困難となるからです。
弁護士が間に入り警告などを発すれば、相手からの脅迫や暴行は止みます。また弁護士が適正な慰謝料の相場を示してその範囲内で支払いについての取り決めをすることができます。
4.こちらから慰謝料請求できるケースもある
不倫や浮気をすると、通常は相手の配偶者から慰謝料請求されるものです。
しかし相手の脅迫行為が度を超えている場合には、反対に請求を受けた側(不倫相手)から相手の配偶者へ損害賠償請求できる可能性があります。
たとえば、相手がネット上に不倫の事実を流して嫌がらせをしてきた場合や、相手に殴られてけがをした場合、大切にしていた物を壊された場合などです。
悪質な嫌がらせや脅迫行為に、泣き寝入りする必要はありません。
当事務所では、不倫や男女問題のトラブル解決に積極的に取り組んでいます。秘密は厳守しますし親身になってお話をお伺いいたしますので、まずは一度、ご相談下さい。