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協議離婚をする際の注意点 ~離婚協議書を作らないとどうなる?~
協議離婚の際には、財産分与や慰謝料、養育費についても合意をすることがあります。このような場合、離婚協議書を作成して合意の内容を書面で残しておくことが重要です。
本記事では、離婚協議書の重要性とこれを作っておくことでどのようなトラブルを回避できるかを説明します。
1 離婚協議書の重要性
法律上は夫婦双方が離婚に合意していれば、役所で離婚届出を行うことで簡単に離婚が可能です。しかし、現実には離婚後の当面の生活費や、子どもがいる場合は養育費も必要ですから簡単に離婚することはできません。そこで協議離婚をするにあたっては離婚自体の合意のみでなく離婚後の養育費や財産分与の額、支払い方法等についても合意をするのが一般的です。
2 離婚協議書を作っておかないとどうなるのか
離婚後、合意があったにもかかわらず養育費や財産分与の支払を渋られてしまうことがあります。離婚の際には夫婦関係が悪化しており、同居していない家族に対して金銭を支払うことに後から抵抗を感じる方も珍しくないのです。離婚協議書はこのように相手方が合意を守らないときに威力を発揮します。
(1) 公正証書ではない離婚協議書の場合
どうしても相手が支払わない場合には養育費や財産分与を求めるため裁判によって決着をつけることになりますが、離婚協議書は合意の重要な証拠となります。もしも離婚協議書を作っていなければ、相手方は合意の存在そのものがなかったと主張し、合意通りの金銭支払いが認められなくなってしまう可能性が高まります。また、離婚協議書の存在自体が相手方に支払いを心理的に促すことにもなります。
このように、公正証書でない離婚協議書であってもこれを作らない場合と比較して養育費等未払いのリスクを大きく軽減することができるのです。
(2) 公正証書の離婚協議書の場合
他方で離婚協議書を公正証書として作成した場合、それは財産分与や養育費といった金銭の支払いに関して債務名義となります。すなわち、裁判をしなくてもすぐに相手方の給料等から養育費等を差し押さえることができるようになるのです。せっかく離婚して新生活がスタートしたのに養育費のためにまた元配偶者の相手をしなければならないというのは憂鬱なものです。また、離婚前まで専業主婦やパート勤務だった方は裁判で決着がつくまで何年も待つ余裕はなくすぐにでも養育費や財産分与が支払われなければ生活がままなりません。このため、すぐに支払いを受けられるよう公正証書として離婚協議書を作成しておくのがベストと言えます。
(3) 離婚協議書を作成しなかった場合
離婚協議書を作成しなかったとしても、養育費等が支払われているうちは問題ありません。しかし、一旦養育費の支払いがストップし相手方がゴネだした場合、合意通りの支払を求めることが難しくなるのです。
そこで、離婚協議書を作成しなかった場合も、心変わりしないうちに離婚協議書を改めて作成しておくことが考えられます。合意時に離婚協議書を作成しなかったとしても、離婚協議書の作成は可能だからです。
3 結論
以上の通り、離婚の際に離婚協議書を作成しておかなければ相手方が合意に反した場合にトラブルが生じるおそれが高まります。特に財産分与や養育費等に関する合意は離婚後の生活に直結する重要な合意です。必ず協議離婚書を作成し、できれば公正証書として残しておくことをお勧めします。