配偶者からDVを受けているなら、今後の人生のためにも一度真剣に離婚を検討されることをお勧めします。DVはあなたのためだけではなく、お子さんのためにもなりません。
ただ、DV被害者の方は「自分が悪い」と思い込んでいるケースもあり、なかなか離婚や別居などに進む気持ちになれないことも多々あります。また経済的な問題も障害になりがちです。しかし「自分が悪い」と思い込まされているケースも多いといえます。
当事務所では、そういったDV被害者の方への支援を積極的に行っています。お困りの際には、お気軽にご相談下さい。
このページの目次
1.DVとは
DV(ドメスティックバイオレンス)は、日本語で「家庭内暴力」を意味します。広い意味では身体的な暴力のみならず、精神的な暴力(モラハラ)や経済的な暴力(生活費不払い)などを含みますが、ここでは特に身体的な暴力の問題をとりあげます。
たとえば以下のような場合、DV被害に遭っているといえます。
- 日常的に殴る、蹴る、髪の毛を引っ張られるなどの暴力を受けている
- 口答えすると殴られる
- 普段はおとなしいが、お酒を飲むと暴れ出して暴力を振るわれる
- 虫の居所が悪いと暴力を振るわれる
また、通常、DVは、CCVといって、モラルハラスメント、セクシャルハラスメント、経済的DVを織り交ぜて行われるものです。身体的暴力の有無にこだわらずに特に、モラルハラスメントや性行為を強要されているような場合は、弁護士に相談しましょう。
2.DVは離婚原因になる
夫婦は互いに相手を尊重し、助け合って生きていかねばなりません。民法にも相互協力・扶助義務が定められています(民法752条)。
相手に対して暴力を振るい無理に従わせるのは相手の人権を無視して踏みにじる行為であり「婚姻関係を破綻させる」ものです。そこでDVは離婚原因になります。
民法では、裁判上の離婚原因として「その他婚姻関係を継続し難い重大な事由」を定めていますが、DVはこれに該当すると考えられています。
そこでDV被害を受けている場合、相手が離婚を拒絶していても、訴訟を起こせば強制的に離婚を認めてもらえます。DV被害がある場合は別居期間も要しないと考えられます。
3.DV被害に遭っていたら「離婚慰謝料」を請求できる
婚姻中にDV被害を受けてきた場合、離婚時に慰謝料を請求できます。暴力は明らかな不法行為ですし、それによって婚姻関係が破綻してしまった以上、相手は有責配偶者といえるからです。
DVによって発生する慰謝料の相場は、だいたい50~200万円程度です。離婚するときには相手から逃げるのに精一杯で慰謝料を払ってもらえなかったケースでも、離婚後3年間であれば請求可能となっています。
もしもDV加害者との離婚が成立していて、まだ慰謝料を支払ってもらっていない方がおられましたら、一度お気軽にご相談下さい。
当事務所がかかわったDVの慰藉料事例では、ナイフで刺された事例300万円、暴力200万円という高額事例、深刻事例も扱っております。
4.DV加害者と離婚を進める際の注意点
DV加害者と離婚を進める際には、通常事案とは異なる注意点があります。
4-1.身体的な被害が拡大する可能性に注意
1つは、身体的な被害が拡大するおそれです。
DV加害者は、自分が間違っているとは思っていませんし、配偶者を支配しようという強い意識を持っています。その配偶者が離婚をつきつけてきたとしても到底離婚を受け入れませんし、激昂して暴れ出す可能性も十分にあります。そうなると、離婚どころか大けがをさせられてしまうかもしれません。
そこで激しいDV事案では、相手に離婚を切り出す前に別居をして、離婚調停を申し立てて話し合いを行うことをお勧めしています。
相手が引っ越し先に追いかけてきそうな場合には、保護命令を申し立てて身の安全を確保することも検討しましょう。
4-2.被害を自覚しにくい問題
もう1つの問題は、被害者本人がなかなかDV被害を受けている自覚を持てず、離婚に進みにくいことです。常日頃からDV被害を受け続けていると、相手に対する「依存心」が芽生えてしまって「相手と離れられない」状態になるケースがあります。「私がいなくなったら相手は自殺するかも知れない」「私が悪いから暴力を振るわれる」「本当は、夫は良い人だ」と思い込まされているケースも少なくありません。
DV被害から脱却するには、こうした1種の「洗脳状態」から抜け出す必要があります。そのためには親族や弁護士など、周囲のサポートが必須です。
5.保護命令について
保護命令とは、DV法にもとづいて、配偶者から暴力を受けている被害者を守るために裁判所が発する命令です。保護命令が出ると、加害者は被害者に近づくことが許されなくなります。本人だけではなく子どもや両親などに近づくことも禁止できますし、相手が命令に違反して押し掛けてきたら、警察に逮捕してもらうことも可能です。
離婚話を進めている間に相手が押し掛けてきて暴力を振るわれるおそれがあるなら、別居と同時に保護命令を申し立てて、身の安全を確保しながら調停を進めていきましょう。
保護命令や離婚調停の申立ての際には弁護士がサポートいたしますので、御遠慮なくご相談下さい。
6.DVで離婚を進める手順
DV事案で離婚を進めるには、DVの程度によって異なる対応が必要です。
程度が軽い場合には同居のまま話し合い、協議離婚を進めることも可能です。妻が離婚を切り出したらとたんに夫の態度が変わり、謝られるケースも少なくありません。その場合、相手の反省状況に鑑みて、一度だけチャンスを与える選択も可能です。
一方激しいDVを受けているなら、早期に別居して保護命令と離婚調停を申し立てるべきです。DV事案では裁判所も配慮してくれるので、相手と絶対に会わないように別室調停にしてもらえたり呼び出し時間や帰宅時間をずらしてくれたりします。相手に住所を知られないようにもできます。
当事務所では、離婚や男女問題の解決に向けて、積極的に取り組んでおります。DV被害でお困りの方がおられましたら、勇気を出してご相談下さい。DV問題は弁護士に対する業務妨害も多い分野です。私たちは勇気をもってこの問題に取り組みます。