貞操権侵害の慰謝料請求の流れ

貞操権侵害を受けたとき、どのようにして慰謝料を請求すれば良いのかご存知でしょうか？確実に支払いを受けるには、正しい手順を把握しておく必要があります。

今回は貞操権侵害にもとづく慰謝料請求の流れを、名古屋の弁護士が解説していきます。

このページの目次

1．貞操権侵害にもとづく慰謝料請求とは

貞操権侵害にもとづいて慰謝料請求できるのは、既婚者から騙されて交際して肉体関係を持ったケースです。

婚活パーティや婚活アプリなどで知り合い「未婚」と信じて交際したところ、実は相手に妻がいた、というケースがあります。

そのようなときには「真実を知っていたなら性関係にならなかった」と言えるので、性交渉に応じるかどうかの自由な意思決定が阻害されたといえ、貞操権侵害となります。

既婚者に騙されると「騙された自分が悪い」「相手に奧さんがいるなら不倫になるかもしれない」などと考える方もおられますが、泣き寝入りする必要はありません。

騙されて精神的苦痛を受けたなら、法的に賠償を求める権利が認められます。弁護士がアドバイスやお手伝いもできるので、あきらめずに相談してみてください。

貞操権侵害で慰謝料請求するには、以下のような手順で進めましょう。

交際相手とは、普段LINEやメールなどで連絡を取り合っているでしょう。まずは、相手に普段の連絡方法で良いので「慰謝料を支払ってほしい」と伝えます。

相手が騙して性行為をもったことは法律上「貞操権侵害」に該当すると説明し、支払ってほしい金額を提示します。相手が納得すればスムーズに支払いを受けられます。

通常の連絡方法では相手が慰謝料の支払に応じない場合には、「内容証明郵便」を使って慰謝料請求をしましょう。

内容証明郵便は郵便局と差出人の手元に控えが残る郵便です。書留式となっていて受取人に直接手渡されますし通常の郵便とは書式も異なるため、相手に強いプレッシャーを与えることが可能です。また後に裁判になったときの証拠にもできます。

ただし相手に自宅に送付して相手の妻が受け取ると、中身を見られて「夫が不倫していた」と誤解する可能性があります。

「本人限定受取郵便」を使って相手本人しか受け取れないようにするか、相手の職場などに送付するのが良いでしょう。

メールなどで通知したり内容証明郵便で請求書を送ったりしたら、その後に相手と慰謝料支払いについての交渉をしなければなりません。慰謝料をいくらにするのか、どのようにして支払うのか（一括か分割かなど）を話し合って決定します。

貞操権侵害の慰謝料は、可能な限り一括払いさせるべきです。長期にわたって支払いが続くとその期間中ずっと嫌な思い出が蒸し返されますし、相手の妻に知られるリスクも高くなるからです。

慰謝料の金額や支払い方法について合意ができたら、合意書を作成しましょう。

合意書を作成しないと、相手が約束を破って支払わなかったときに追及しにくくなるので、必ず書面を作成すべきです。

合意書には「貞操権侵害にもとづく慰謝料の合意」であること、「慰謝料の金額」「支払い方法、振込先の口座」「支払期限」などを明確に書き入れましょう。また「本件について、互いに誰にも口外しないこと」なども約束しておくと、お互いの名誉の保持につながりますし相手の妻に知られるリスクを低減できます。

合意書は2通作成し、相手とあなたが1通ずつ所持するのが基本です。ただ、相手の保管状況が悪いと相手の妻に発見されてトラブルになる可能性があるので、保管方法についてはくれぐれも注意を促しておくべきです。相手が「合意書の控えは要らない」という場合には、交付しなくてもかまいません。

話し合いをしても相手と慰謝料についての合意ができない場合には、慰謝料請求訴訟を起こす必要があります。

慰謝料請求訴訟できちんと貞操権侵害の法的根拠を示して立証できたら、裁判官が相手に慰謝料の支払い命令を出してくれます。

ただし訴訟で勝つには専門的な対応が必要です。弁護士に依頼するのが必須となるでしょう。特にこちらが提訴すると相手は弁護士をつけてくるでしょうから、こちらのみが本人訴訟だと圧倒的に不利になります。

弁護士に訴訟を依頼すると、ご本人はほとんど裁判所に行く必要もないのでさほど手間がかかりません。当事務所でもお受けできますので、提訴を検討される際にはお気軽にお問い合わせください。

訴訟できちんと主張・立証ができれば裁判官が相手に慰謝料支払い命令の判決を下します。お互いに控訴しなければそのまま確定します。控訴されると控訴審で争い、最終的に高等裁判所が判決を下します。

裁判では必ず判決になるとは限らず、和解するケースもよくあります。和解が成立したらその時点で裁判は終了し、相手から和解内容通りに支払いを受けられます。

判決が下っても相手が命令に従わない場合、相手の給料や預貯金などの資産を差し押さえて慰謝料を回収できます。

貞操権侵害で慰謝料請求をするとき、被害者ご本人が請求するとどうしても相手が軽く考えて対応しない可能性が高くなります。また自分では貞操権侵害の根拠についてうまく説明できず、有利に交渉を進められない方も多いでしょう。そのようなときには、弁護士に対応をお任せ下さい。

弁護士が交渉を代行すれば相手もプレッシャーを感じて支払いに応じやすくなりますし、優位に交渉を進めて高額な慰謝料を支払わせやすくなります。どうしても相手が支払いに応じないときには訴訟に持ち込んで解決できます。

当事務所では貞操権侵害を始めとしたさまざまな男女トラブルへ積極的に取り組んでおります。名古屋で既婚者に騙されてお悩みの方がいらっしゃったらアドバイスやサポートを行いますので、まずはお気軽にご相談下さい。