不倫(浮気)の慰謝料を請求しても、相手がすんなり支払うケースは少数です。たいていの場合、相手から「支払えません」などと反論されます。
不倫相手からはどのような反論が予想されるのでしょうか?
また支払ってもらえないときにはどう対処するのが良いのでしょうか?
今回は、不倫・浮気相手からのよくある反論と、「慰謝料を支払わない」と言われたときの対処方法を名古屋の弁護士が解説していきます。
このページの目次
1.不倫相手からのよくある反論
不倫相手からよくある反論は、以下のようなものです。
1-1.不倫していない
そもそも「不倫なんてしていません」と反論されるケースが非常に多数です。
特にこちらが明確な根拠を提示せず、単に「不倫しているだろう、慰謝料を払うように」とだけ告げた場合に「勘違いです」などと反論されやすいです。「浮気なんてしていない、決めつけるのは名誉毀損です」などと反対に責められる場合もあり、注意が必要です。
1-2.そちらに責任があるので支払わない
不倫相手から「奧さん(旦那さん)の方にも責任があるのでは?」と言われるケースも少なくありません。
つまり妻や夫が配偶者を大切にしていなかったために配偶者が不倫に及んだと主張するのです。請求者の責任で不倫が発生したのだから、慰謝料など支払う必要はない、という理屈です。
1-3.こっちも迷惑しているので支払わない
不倫相手が「こちらも迷惑している」と主張するケースもあります。たとえば「あなたの夫がしつこく交際を誘ってきたので困惑していた」「別れたいと言ったのに別れてくれなかった」「妊娠させられたのでこちらから慰謝料を請求したい」などと言われるケースなどがあります。
1-4.騙されたので支払わない
ときどき、既婚であることを隠して未婚者と交際する人がいます。悪質な場合、そうした相手と結婚の約束をしていることもあります。
すると当然、交際相手は「騙されたのだから慰謝料は支払いません」と主張するでしょう。実際に相手に過失がなかったなら慰謝料が発生しない可能性があります。
1-5.性行為を強要されたので支払わない
配偶者が女性に性行為を強要した場合、女性には責任はありません。「性行為は強要されたものだから慰謝料を支払いません」と反論されるでしょう。
1-6.時効が成立している
慰謝料請求権は、不倫の事実と不倫相手を知ってから3年で時効消滅します。不倫から長い年月が経過してから慰謝料請求をすると、相手から「時効が成立しているので慰謝料は払えません」と言われる可能性が高くなります。
1-7.お金がないから支払えない
「浮気して悪かったとは思うけれど、お金がないので払いたくても払えない」と反論してくる人もたくさんいます。
2.反論されたときの対処方法
慰謝料を払わないと反論されてしまったとき、どのように対処すれば良いのでしょうか?
2-1.「不倫していない」と言われたとき
不倫していないと言われたときには、不倫の証拠を用意しましょう。法律上「不貞」を理由に慰謝料請求するには肉体関係を立証しなければなりません。メールやLINEのメッセージ、写真や動画など、できるだけ直接的に肉体関係を示す資料を集めましょう。配偶者に自白させて書面を書かせる方法もあります。
2-2.「あなたに責任がある」と言われたとき
多少の夫婦不和があっても、不倫して良いことにはなりません。絵に描いたような幸せな家庭でなくても不倫は違法です。また夫が不倫相手に「妻とはうまくいっていない」などと嘘をついて不倫しているケースも多々あります。
「あなたに不倫の責任がある」と言われたら、不倫が始まった当初の時期に家庭円満で離婚の危機などなかったことを伝え、慰謝料支払いを求めましょう。
2-3.「こちらも迷惑している」と言われたとき
配偶者からしつこく交際を求められて迷惑していたなどと言われたときには、「それでも既婚者と交際するのは違法」と反論しましょう。誘ったのは配偶者であっても最終的に申し入れに応じて肉体関係を持ったのなら不貞となり、慰謝料が発生します。
2-4.「騙された」と言われたとき
配偶者が未婚と偽って相手を騙した場合には、慰謝料が発生しない可能性があります。ただし相手が途中で既婚であると気づいた場合には慰謝料が発生します。また相手が当然気づくべき状況であった場合にも「過失」が認められて慰謝料が発生する可能性があります。
相手や配偶者から事情を確かめて本当に慰謝料支払い義務がない事案かどうか、見極めましょう。
2-5.「性行為を強要された」と言われたとき
本当に性行為を強要されたのなら慰謝料は発生しませんが、事実と異なる可能性もあります。また当初は半ば強制であっても、そのうちお互いが了承して男女関係となっている場合もよくあります。「強要された」を鵜呑みにせず、実情を調査して必要に応じて慰謝料請求を進めるべきです。
2-6.「時効が成立している」と言われたとき
不倫慰謝料は、不倫の事実と不倫相手を知ってから3年間で時効消滅します。相手から「時効が成立している」と言われたら、本当にそれだけの期間が経過したか確認しましょう。
未経過であれば早急に内容証明郵便を送って時効の進行を止めさせ、弁護士に相談してください。すぐに訴訟を起こせば時効を止めることが可能です。
2-7.「お金がない」と言われたとき
本当に相手に資力がないのであれば、慰謝料を減額調整したり分割払いを認めたりして、現実的な支払い方法を設定しましょう。
3.相手がどうしても払わないときは裁判が必要
上記のような反論をしても、浮気相手が開き直ったり無視したりする場合には、慰謝料請求訴訟を起こして責任追及しましょう。訴訟で不貞の事実を主張・立証できれば裁判所が相手に支払い命令を出してくれます。
判決が出ても相手が支払わない場合には、相手の預貯金や給料、保険や車などを差し押さえることも可能です。
不倫相手が開き直っているときでも、弁護士が対応すると相手の対応が変わるケースも少なくありません。名古屋で不倫トラブルにお悩みの場合、お気軽にご相談下さい。